月夜に1人の私を見つけて
「どうでした?初めてのバイク。」
料理を待っている間、大和が雪奈に話を振ってきた。
「うん、楽しかった!」
「おぉ、意外な感想。」
「そう?車に乗ってる時とは景色も違って見えて新鮮だし、ジェットコースターみたいだったし、楽しかったよ。」
「へぇ。じゃあ雪奈さんって、ジェットコースター好きなんですか?俺は好き。」
「うん、ジェットコースター好きだよー。富士Qレベルも楽しめるんだけど、二宮くんは?」
「俺も好きです、富士Q。今度、一緒に行って勝負します?何回連続で絶叫系乗れるか。」
「いいよー?負けないからね?」
「俺だって。」
そう言って嬉しそうにニカッと笑う大和を見ながら、はた、と気づく。
もしかして今、さり気なくデートに誘われたのではないのだろうか。
というか、そもそも2人で一緒に外食している今も、既にデートしていることになるのでは。
──いやいや、2人で外食するくらいで、デートなんて思っちゃダメでしょ。自意識過剰過ぎ、私。