月夜に1人の私を見つけて
大和が意味深な視線を向けてきたので雪奈は「ん?」と首を傾げてみせた。
「雪奈さんとの初デート記念を祝して。」
驚いて固まっている雪奈のジョッキに、大和がジョッキを近づけると、2つのジョッキが軽い音を立てて重なった。
「…乾杯。」
大和は、嬉しそうに笑ってみせた後、ジョッキを傾けて烏龍茶をぐいっと飲んだ。
──二宮くんも、デートって思ってくれてたんだ。
嬉しいような、恥ずかしいような、むず痒い気持ちになりながら、雪奈も烏龍茶を少しだけ飲んだ。
それからお互いに軽く手を合わせて「いただきます」してから、お互いに好きなだけ取皿に料理を乗せた。
雪奈はひとまず、焼き鳥一本とキャベツを数枚、自分の取皿に乗せて食べてみた。
焼き鳥は程よい塩味でますます食欲がそそられるように感じられるし、
キャベツはシャキシャキで甘みもあるし、美味しい。
その後は、ちょうどいいタイミングで運ばれてくる料理を、2人で会話しながらゆっくり食べ進めた。