月夜に1人の私を見つけて
のんびりとお喋りしながらの食事を終え、お店の外に出る頃には22時を回ろうとしていた。
「美味しかったぁ!良いお店に連れてきてくれてありがとうね。」
満足そうな雪奈を見て、大和も満足そうに「よかったです」と呟いた。
「調子に乗って、結構食べちゃったなぁー」と言いながら、バイクがある駐車場を目指す雪奈の後ろから、大和が「あの」と声をかけた。
ん?と振り向いた雪奈に、大和は真剣な表情で尋ねた。
「また、めしに誘っていいですか?」
「うん!美味しかったから、また来たいな。教育期間の時みたいに、外回り一緒に行けたら、お昼の定食も食べに来れるのになぁ。」
そう返した雪奈の回答がイマイチだったのか、大和は「…ですね。」とだけ呟いて、雪奈の脇を通り過ぎてバイクの方へ歩いていった。
──なんか怒ってる?
さっきまで楽しい雰囲気だったのに、なんだかおかしい。
大和に近づいたが、目線を合わせてくれない。
「ね、私、何か気に触ること言ったかな?」
ヘルメットを被った大和は、雪奈の問いかけには答えず、無言のまま雪奈の方を向き、雪奈の頭にヘルメットを装着しながら質問してきた。