月夜に1人の私を見つけて
自販機の前に立つと「雪奈さん、何飲むんですか?」と大和が尋ねた。
「今日は微糖コーヒーにするよ。」
「これ?」
「そ。」
大和が指差した先を見て雪奈が頷くと、大和がサッとスマホをかざして同じコーヒーを2つ買い、片方を雪奈に差し出した。
「はい、どーぞ。」
「え!?いいの?」
「いいですよ?残業お疲れさまです。」
「ありがと〜。先輩の私が奢らなきゃなのにね…。」
そう言って受け取ろうとしたコーヒーを、サッと隠された。
なんで?と思いながら大和の顔を見ると、少しふくれっ面になっている。
「まーた後輩扱い。」
「へ?」
「…まぁいいや。はい。」
「?ありがと。」
小首を傾げながら大和からコーヒーを受け取り、近くにあるベンチに2人並んで座った。