月夜に1人の私を見つけて
その後も終電まで残業する日が続き、あっという間に24日になった。
午後には仕事が片付き、同じチームのみんなも含めて「今日は早く帰れそうだねー」などと言って歓談する余裕すら出てきた。
とは言っても、結局会社を出たのは19時過ぎだった。
チームのみんなに声をかけ、会社を後にする。
クリスマスイブということもあり、駅までの道のりも、いつもよりカップル率が高いような気がした。
──そういえば、明日って何時に待ちあわせなんだろ。
ふとそう思い、大和と連絡を取ろうとスマホを見てみると、メッセージが届いていた。
『明日、17時にここの駅前の時計塔に来てもらっていいですか?』
一緒に、地図情報も送られてきていた。
──あ。ここって、うさちゃんグッズが売ってある雑貨屋さんのある駅だ。
そういえば、この前は世那と会ったから、雑貨を買いそこねた。
──二宮くんと会う前に、お店に寄ってみようかな。
そう考えながら雪奈は大和のメッセージに『連絡ありがとう!明日はよろしくね。』と返信した。
──二宮くんが伝えたいことって、なんだろ。まさか、告白…されたりしないよね!?
勝手に期待を膨らませて顔がまた熱くなるのを感じ、思わず首元に巻いているマフラーに顔を埋めて誤魔化す。
なんとなく、明日はとても大切な日になるような気がしていた。