月夜に1人の私を見つけて

「世那…!」


こっちを見て、嬉しそうに手を振る世那がこちらに歩み寄ってきた。
先日会った時と同じくらい、ボーイッシュな格好をしている。


そして…彼女のとなりには、ガタイのいいアメリカ人の男性が。


「えぇっと…?」


ニカッとお茶目な雰囲気で笑いかけてきたそのアメリカ人を見上げながら雪奈が戸惑っていると、世那が「あ、そうそう」と呟いてから紹介してくれた。


「彼、ジョンっていうの。私の婚約者。」


「え!?」


まさかの話に雪奈が驚いていると、ジョンは流暢な日本語で「どーもー!ジョンでーす!」と言って手を差し出し、ハハハと笑いながら握手を求めてきた。


ジョンの握手に応じている雪奈に世那が説明を続ける。


「実は、両親に婚約の挨拶するために帰国したっていうのもあってさ。雪奈にも会って欲しかったから、ちょうどよかった。」


「そうだったの。」


握手を終え、ジョンの手を離しながら雪奈は頷いた。
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