月夜に1人の私を見つけて

「ところで、雪奈は何してたの?…あ。もしかして、今から二宮くんとデートかな?」


にししっといたずらっぽく笑う世那の問いかけに、ふるふると頭を振りながら雪奈は答えた。


「デートじゃないよ。それに…二宮くん、さっき女の人と一緒にいたの。彼女、いた…みたい。」


最後の方は、少し言葉が詰まった。


世那は目を見開いて驚いた表情だけ見せ、「そっ…か。」と呟いた。



そしてにっこり笑うと明るい声で提案してきた。


「じゃあさ、うちらと一緒にご飯食べにいこーよ!」


「え!?そ、そんな…悪いよ、せっかくのクリスマスデートなのに。」


「いいっていいって。気にしないでよ。ほら、行こ。」


そう言って世那が雪奈の手を取ったが、雪奈はもう片方の手を振りながら全力で断ろうとした。


「ホントに、悪いから、せっかくの2人のデートを邪魔しちゃう──」


すると、ジョンがにこやかに笑いながら雪奈の肩に手をかけ、世那と一緒に誘ってきた。


「気にするコトなーい!一緒に行きましょ、雪奈サン。」


「ええっとぉ…」


どうしようかと悩んでいると。



「雪奈さん!」



そう声をかけられたかと思った瞬間、
後ろからぐいっと肩を引かれ、
そのまま背中からポスっと、声の主の体に受け止められた。


見上げると…
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