月夜に1人の私を見つけて

「二宮くん!?」


さっきまで女の人と一緒にいたはずの大和が、雪奈の肩を抱いたまま、世那とジョンに鋭い目線を向けていた。


「ナンパですか?やめてください、俺の連れなんで。」


大和の言葉に、世那とジョンは驚いて目を見張っている。

慌てて、雪奈がフォローを入れた。


「に、二宮くん!違うの、知り合いだよ。」


「え!?」


驚いた表情で雪奈を見下ろした大和はそのまま雪奈を見つめながら言葉を続けた。


「え?え?だって今、無理矢理連れて行かれようとしてませんでした?」


「違うの。一緒にご飯行こって誘ってもらったけど、カップル2人の邪魔しちゃ悪いから断ってたところで…。」


「カップル…?」


そう言いながら大和が目の前の2人に目を向け、はっとした表情を見せた。


「あ。もしかして、私も男だと思いました?古庄世那です。雪奈とは高校の時の同級生で。」


そう言ってにっこり笑う世那を見た大和はようやく状況を理解したようで『やってしまった』といわんばかりの表情だ。


「二宮大和です。すみません、遠くから見たら、男2人に雪奈さんがナンパされてるように見えて…」


申し訳無さそうに謝る大和に、世那は「いいっていいって!いつもこんな格好してるから、男に間違えられのはよくあることだしー」と笑いながら答えた。


そして、世那は雪奈を見ると「じゃ、なんか大丈夫そうだし、うちらは行くねー」と言い、ジョンと2人で軽く手を振って立ち去っていった。
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