月夜に1人の私を見つけて
「…すみません、俺…早とちりして…」
大和が申し訳無さそうにまた謝った。
雪奈はふるふると首を振りながら「大丈夫」とだけ答える。
そんな雪奈の肩から手を離した大和は、雪奈の正面に回り、顔を覗き込んできた。
相変わらずキラキラと光るイルミネーションに照らされながら、
大和と雪奈は、
歩道の脇で向かい合って立った。
「…急用って、なんですか?」
「え?」
そう呟いた途端、しまった、と思った。
不意打ちの質問。
大和からの誘いを『急用ができた』と言って断っていたことを思い出した。
「…やっぱり、嘘だったんですか?…なんで?」
「なんでって…」
彼女と2人でいるところを見かけたから。
いたたまれなくなって、逃げ出した。
会うのが、怖くなった。
頭の中に色んな言葉が浮かぶけど、どれから話そうにも、涙が出そうで声を出せない。