月夜に1人の私を見つけて

雪奈が少し目線を上げた先には、大和の柔らかい表情があった。少し、頬が赤い。


「雪奈さん。俺、雪奈さんのことが好きです。教育担当として、面倒みてくれてた時からずっと好きでした。」


そこまで言って、大和はもう一度、呼吸を整えて言葉を続ける。


「雪奈さんのこと、支えたいと思ってますし、俺が支えてほしい時も、雪奈さんに、そばにいて欲しいです。だから、俺の彼女に…なってもらえませんか?」


雪奈を真っ直ぐ真剣な目で見つめて、思いを口にした大和。


彼を見て、また涙が溢れてきた。



──そんなに前から、私なんかを好きでいてくれたなんて…。



嬉しすぎて言葉が出てこない。

雪奈は、口元を手で抑えながら、コクコクとただ頷いた。


「よかった。うれし。」


そう呟くと、大和はまた雪奈を優しく抱きしめた。


温かい腕の中。
雪奈の涙が落ち着くまで、大和は背中を優しくトントンと叩いてくれた。


「そんなに、泣くほど嬉しいの?」


雪奈を抱きしめたまま、雪奈の顔を少しだけ覗き込みながら大和が尋ねる。


雪奈は、大和を少し見上げながら「うん、嬉しいよ。」と鼻声で返した。


そんな雪奈の頭を撫でながら、大和は優しく微笑む。


「そっか。でも俺は、雪奈さんには笑ってほしかったんだけどなぁ…。あ、そうだ。」


そう言うと、大和は雪奈から体を離し、手に持っていた、うさちゃんの袋の中から何かを取り出した。
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