月夜に1人の私を見つけて
「これ。雪奈さんへのクリスマスプレゼントです。」
そう言った大和の手には、透明のラッピング袋。
その中には、店頭に展示してあった、あのうさちゃんのペアのぬいぐるみが並んで入っていた。
「これ…!」
「雪奈さん、このキャラクター好きなんでしょ?前に雪奈さんの部屋に入った時も思いましたけど、会社での持ち物も、このうさぎのキャラクター柄の物が多いなと思ってて。」
「嬉しい!ありがとう。これ、可愛いから欲しいと思ってたの。」
雪奈がそのぬいぐるみを手にして笑うと、大和が目を大きく見開いて、顔を真っ赤に染めた。
「泣き顔から、急に笑顔になるなんて…。ずるいですよ、雪奈さん。」
「え!?」
「…可愛すぎる。」
そう言って大和は、雪奈を抱き寄せ、雪奈の首元に回した腕の影で、雪奈に口づけした。
唇が一瞬だけ触れる、キス。
ゆっくりと2人の唇が離れると、大和は「ごめん、我慢できなかった。」と雪奈を見つめながら呟いた。
その目はもう、後輩でも、年下の男の子でもない。
大人の男の色気に満ちたその目線に、雪奈は囚われ、大和を見つめながら顔が真っ赤になるのを感じた。
「雪奈さん、かわい。まだしたいけど、道端だから我慢する。」
そう言って、いたずらっぽく大和が笑った。
そして、雪奈の手をとると「じゃ、行こっか!」と言って、ゆっくり歩きだした。