月夜に1人の私を見つけて
「まぁ、頑張りすぎたおかげで、さっさと独り立ちさせられて、雪奈さんと違う課にすぐ異動させられたんですけどね…。」
「でも、努力が認められたっていうのはすごいことだよ?」
「まぁ、それはそうなんですけど…あれはマジで複雑な気分になったなぁ。雪奈さんに褒められたのは嬉しかったけど、俺の気持ちに気付いてもらえないままだったから…。しかも違うフロアで働くことになるし…。」
「そうだったんだ。気付かなくてごめんね?」
またクスクスと雪奈は笑い「でも、仕事できる二宮くん、かっこいいとは思ってたよ。」と言った。
「え!?マジで?」
大和は雪奈の言葉を聞いた途端、やや食い気味に尋ねた。
「かっこいい?俺!?じゃあ少しは好きでした?」
「そうだね…。好印象だったのは事実かなぁ。印象良くなかったら、そもそもこうやって付き合うことにはなってなかっただろうしね。」
「マジか!よかったー。ようやく俺の努力が報われたー。」
安堵した様子で、大和は嬉しそうに笑っている。
こんなにも一生懸命、自分を思ってくれる男性はもう現れないかもしれない。
雪奈は幸せを噛み締めながら、そう感じていた。