月夜に1人の私を見つけて
お店を出た2人は、駅までの道のりをゆっくりとイルミネーションを眺めながら歩く。
「綺麗だね、イルミネーション。」
そう雪奈が呟くと、大和も「そうだね」と返した。
そして、キラキラ光る木々を眺めながら、言葉を続けた。
「でも俺は、月の方がイルミネーションよりもきれいかもなって思う時があります。」
「え?」
大和の視線の先を見ると、相変わらず細い月が、淡く夜空を照らしている。
「…変なこと、言っていいですか?」
「ん?何?」
雪奈が大和に視線を移すと、大和が話し始めた。
「月を見ると、雪奈さんを想像しちゃうんです。なんだか、雪奈さんに似てるなって思ってて。」
「そうなんだ。私も自分で似てるなって思ってたから全然変なことじゃないよ。」
「雪奈さんも、そう思ってたんだ?なんで?」
「んー、そうだね…」
なんとなく、月に目を向けたまま立ち止まる。
雪奈と手を繋いでいた大和も、それに合わせて立ち止まって、夜空を見上げた。