月夜に1人の私を見つけて
「ほら、イルミネーションはキラキラ輝いてみんなが目を向けてるけど、月があることに気付いている人って少ないでしょ?それと同じで、キラキラした魅力的な人達とは私は正反対で。目立たず、遠くの方で、キラキラした人達から離れてひっそり存在してるなって。…誰にも目を向けられずに。」
そう語る雪奈の横で、大和は月から雪奈の方へ、ゆっくりと目線を向けた。
「雪奈」
声をかけられ、雪奈も月から大和の方へ、視線をゆっくり移した。
「俺はずっと、雪奈を見てたよ。みんなを影で支える雪奈を。地味な仕事でも嫌な顔なんてせずにこなして、みんなが仕事しやすいようにしてくれてた。」
「忙しい時でも、いつもふんわり笑って、前向きだった。たまに、儚くて、淡くて、折れてしまいそうな雰囲気の雪奈を…今日の月みたいな、雪奈を…俺はいつも、守りたいと思ってたよ。」
真剣な眼差しで、真っ直ぐ雪奈を見つめる大和。
大和の言葉が嬉しくて、また涙が出た。
雪奈は、指先でゆっくり涙を拭った後、涙を浮かべながら大和に笑いかけた。