真珠の首飾り、あるいは女王の薔薇
少し奥まった場所に位置する花園に案内してもらうと、とりどりの花々が辺り一面にうつくしく咲き誇っていた。


育てるのが難しいもの、珍しいもの、メルバーン侯爵領特有のもの、国花たる薔薇などが並ぶ壮観な景色から、園芸は夫人の趣味だと一目で分かる。

陛下のご希望の花、メルバーン卿の叔母さまの住まう公国の花は、優先して育てられ、大きな一画を埋めている。


花園の隅に少し開けた場所があり、花園にあっても眩しい白い円卓と椅子が置かれていた。


「どうぞおかけになって」

「失礼いたします」


花々を横目に、公爵夫人、メルバーン卿、わたしで机を丸く囲む。


座席で優劣をつけないために、丸い形の机を選んでくれたのだろうと思われた。


花園がよく見える位置にわたしの椅子があるということは、客人としてもてなされているということよ。ありがたいわ。


「ジュディスさん、とお呼びしてもよろしくて?」

「はい、もちろんですわ。嬉しゅうございます」

「ありがとう。わたくしも嬉しいわ」


夫人が目線で侍女を呼び、紅茶と小さな菓子が用意される。


メルバーン卿はこちらを見守るだけで、あまり話をしなかった。菓子をつまみながら、静かに紅茶を傾けている。
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