真珠の首飾り、あるいは女王の薔薇
「こちらをいただけますでしょうか」
「ええ、もちろんよ。それが一番よいと思うわ」
ほんとうは、公爵夫人は始めから、これが一番よい花だと思っていたのですって。
でも、すぐにおすすめせずに見守って、最終的にはわたしに選ばせたのは、身分差を鑑みてのこと。
公爵夫人が「この花がよいと思うわ」などと指定すると、わたしはその指定された花以外を選べなくなる。
わたしに選ばせたいという陛下のご意向もあって、あまり口出ししないように留意してくださった。
公爵夫人が選りすぐり、花をあらかじめ鉢に移しておくよう指示してくださっていたおかげで、選択肢の分母が両手の指の数ほどになり、それほど悩まずに済んだ。
このお花が植えられているのは一画だけとはいえ、白い色に絞ってもまだ何百と咲いている花を、花に詳しくないわたしがひとつずつ確認するなんて非現実的だもの。
「花を抱えて持って帰るわけにはいかないでしょうから、後ほど公爵家の者に王城まで届けさせるわ。わたくしから息子に贈る形にするから、ウィリアムを通して受け取ってちょうだい」
「かしこまりました。ご配慮痛み入ります」
メルバーン卿の私室に宛ててあれば、もし贈り物の中身をあらためられても安心。こそこそっとわたしの私室に持ってきてもらえばいいわね。
「公爵夫人、本日はたいへん素晴らしいものをありがとう存じます。後ほどすぐに橋を架けるお手伝いをいたしますわ」
「ええ、もちろんよ。それが一番よいと思うわ」
ほんとうは、公爵夫人は始めから、これが一番よい花だと思っていたのですって。
でも、すぐにおすすめせずに見守って、最終的にはわたしに選ばせたのは、身分差を鑑みてのこと。
公爵夫人が「この花がよいと思うわ」などと指定すると、わたしはその指定された花以外を選べなくなる。
わたしに選ばせたいという陛下のご意向もあって、あまり口出ししないように留意してくださった。
公爵夫人が選りすぐり、花をあらかじめ鉢に移しておくよう指示してくださっていたおかげで、選択肢の分母が両手の指の数ほどになり、それほど悩まずに済んだ。
このお花が植えられているのは一画だけとはいえ、白い色に絞ってもまだ何百と咲いている花を、花に詳しくないわたしがひとつずつ確認するなんて非現実的だもの。
「花を抱えて持って帰るわけにはいかないでしょうから、後ほど公爵家の者に王城まで届けさせるわ。わたくしから息子に贈る形にするから、ウィリアムを通して受け取ってちょうだい」
「かしこまりました。ご配慮痛み入ります」
メルバーン卿の私室に宛ててあれば、もし贈り物の中身をあらためられても安心。こそこそっとわたしの私室に持ってきてもらえばいいわね。
「公爵夫人、本日はたいへん素晴らしいものをありがとう存じます。後ほどすぐに橋を架けるお手伝いをいたしますわ」