真珠の首飾り、あるいは女王の薔薇
「ジュディスさま、ようこそお越しくださいました」


にこにこ出迎えてくれた、すっかり顔馴染みの執事に頭を下げる。


先日ぶりですね、と答えたのは、ほんとうに数日前にもお茶に招かれたばかりだから。

陛下から数日後にはお礼の品を渡せるように準備を進めているとお話を聞いていたので、先日お茶を傾けながら日程を調整し、今日来訪する約束を取りつけておいた。


公爵家となればご多忙に違いないのに、度々招いてもらい、毎度にこやかに出迎えてくださるのでありがたい。


お茶を飲んだり話したりする傍ら、公爵夫人が相談にのってくれ、こまかな対応を教えてもらえるのもほんとうに助かる。


「素晴らしい方に私淑できて光栄ですわ」と甘えるわたしに、「こちらこそ、いつもありがとう。ジュディスさんがいらっしゃると我が家が華やいで、娘ができたようで嬉しいわ」と穏やかに受け入れてくださっている。

ほんとうに寛容で素敵なお方。


公爵家に通ううちに、公爵夫人ではなく、アレクサンドラさまとお呼びする許可をもらった。ジュディスさん、アレクサンドラさま、と呼び合っている。
< 116 / 174 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop