真珠の首飾り、あるいは女王の薔薇
「わたしがあなたさまをお慕いしてやまないなんて、すっかりご存知のことと思っておりましたわ。そうでなくて、誰が日々あなたさまのために奔走いたしましょう」
「それは、あなたが仕事熱心だからかと思っていたわ」
「仕事熱心なのは、あなたさまがよい主でいらっしゃるからです。ですからこの城にいる者たちは、仕事熱心で、陛下を敬愛するものばかりでございますよ」
「あなたのおかげだわ、ジュディス。わたくしの薔薇」
「ありがとう存じます。わたしに、あなたさまの声望を確かにするお手伝いをさせてくださいませ」
この国は歴史が長い。それゆえにか地理の恵みか、代々の国王たちは着実に国土を増やしてきた。
巨大化した国を維持することは、為政者にとって難題である。
前国王陛下──女王陛下のお父上は、戦によって国を維持なさった。
あまり一箇所に留まらず、前線での指揮や各地の視察に、その一生のほとんどを費やした。その目は常に、国外に向いていた。
けれど、陛下は好戦的なお方ではない。
軍事力は残してあるものの、わが国から仕掛ける戦を最小限に抑えている。
国内に目を向け、今まで活躍の機会がなかった者を取り上げることによって、文明によって、この国の輪郭を確かにしようとしている。
「それは、あなたが仕事熱心だからかと思っていたわ」
「仕事熱心なのは、あなたさまがよい主でいらっしゃるからです。ですからこの城にいる者たちは、仕事熱心で、陛下を敬愛するものばかりでございますよ」
「あなたのおかげだわ、ジュディス。わたくしの薔薇」
「ありがとう存じます。わたしに、あなたさまの声望を確かにするお手伝いをさせてくださいませ」
この国は歴史が長い。それゆえにか地理の恵みか、代々の国王たちは着実に国土を増やしてきた。
巨大化した国を維持することは、為政者にとって難題である。
前国王陛下──女王陛下のお父上は、戦によって国を維持なさった。
あまり一箇所に留まらず、前線での指揮や各地の視察に、その一生のほとんどを費やした。その目は常に、国外に向いていた。
けれど、陛下は好戦的なお方ではない。
軍事力は残してあるものの、わが国から仕掛ける戦を最小限に抑えている。
国内に目を向け、今まで活躍の機会がなかった者を取り上げることによって、文明によって、この国の輪郭を確かにしようとしている。