真珠の首飾り、あるいは女王の薔薇

十四粒目、あるいは十四枚目

国中が浮き足立っている。なにを隠そう、もうすぐ陛下の生誕祭、国をあげてのお祭りが待っているからである。


王城でも盛大な宴が開かれるとあって、嬉しい慌ただしさに城全体が包まれていた。


わたしは陛下のおそばに控えるようにと陛下直々にお話があり、ドレスについては白と青の組み合わせでよいと勅許を与えられた。


「あなたがドレスを着たくなるかはわからないけれど、着たくなったとしても、色選びが面倒になって結局着ない方がいいと決めるのが目に浮かぶようだわ」とは、今日も今日とて書簡を(したた)める陛下の言である。


「返す言葉もございません」

「やっぱりないの。そうなの。……できれば認めないでほしかったわね……」


陛下はがっくりうなだれてしまった。


だ、だって陛下、仕方ないじゃないありませんか。

わたしに流行りは分からないし、適切な型かどうか不安だし、懇意にしている仕立て屋もないし……。いざとなったらお仕着せを着るからいいわ。


「まあ、いいわ。あなたが式典に出てくれるなら、なんでも構わないわ」

「もちろん、おそばにお控えします」

「大事なことなのだから、そのくらいの自信を持ってあなたの装いについても答えてほしかったわ……」


女王が目を皿のようにした。


「ハイ。検討します」


ご期待に添えずすみません。
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