真珠の首飾り、あるいは女王の薔薇
「仕事ぶりは、信じておりますわ」

「仕事ぶりは、ですか」

「ええ。陛下もお認めなのですもの。ですからあなたに、わたしのところへ行くよう命じられたのでしょう」


意見を聞き取るのは、たいへんな大役である。


その調査を元に方針を決めるわけだから、生半な人物には任せられない。

女王に見込まれている証になるわ。


有能で顔立ちが整っているので、好印象を抱かれやすいというのもあると思うけれど。


「陛下の目を通せば、私の仕事ぶりはよいように見えるということですね。では、あなたの目に私はどう見えますか」

「先ほどわたしを、薔薇のきみとからかれましたわ。以前からですけれど」


どうにかむくれずに言うと、今度こそヘイゼルの瞳が丸くなった。


「……私は、あなたの仕事ぶりを褒めているつもりだったのですが」

「そんなふうには思えませんでしたが!?」

「女王陛下があなたの仕事ぶりをお認めになり、御自ら与えられた名ですよ。あなたの仕事ぶりをよく言うのであれば、そちらを呼ぶのが道理というものでしょう」


薔薇のきみ、薔薇のきみとしつこいと思っていたら、あれは褒めていたらしい。信じられない。


……人付き合いが下手なのかしら。


そうよね、眉目秀麗で高位の身分、あまりに欠点がなさすぎるもの。

ひとつくらい、苦手なものがあってもいいはずだわ。
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