真珠の首飾り、あるいは女王の薔薇
女王の文官として城の一室を与えられ、衣食住を保証され、仕事内容は好きに文を書くこと。

最高。最高と言う他ないわ。


深く腰を折って、できるだけきれいなカーテシーをする。


「陛下。わたし、陛下と、恋と愛にふさわしくありたいと思います」

「まあ……!」


深く下げた頭上に、明るい声が降った。


「わたし、もしお許しいただけるのでしたら、今後はカイム姓ではなく、プリムローズ姓(女王陛下の薔薇)を名乗りたく存じます」

「ええ、もちろんよ」

「ありがとう存じます」


女王は二つ返事で、わたしの名前と誇りを取り戻させてくれた。


「これからよろしく頼むわね、わたくしの薔薇」

「はい、陛下。どうぞよろしくお願いいたします」


かくして、わたしは女王の書簡係になったのだった。
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