犬系男子の犬飼くんは私にすごく懐いてます
街中のゲームセンターは規模が大きい分。店内にある筐体の数も多い。
色々な種類のもの、目を惹く景品の数々。
ただ見てるだけでも楽しいのがクレーンゲームの良いところだと私は思う。そこも好きな理由の一つだ。
「なんだかクレーンゲームってウィンドウショッピングしてるみたいだよなぁ」
犬飼くんが呟いたことに私は首を縦に振る。
うん、すごくわかる。
実際、クレーンゲームの景品を見てるだけで時間は潰せそうだ。
「あ、猫のぬいぐるみ」
私はふと猫のマスコットが一杯に入っているクレーンゲームを見つけた。
「瑠夏、猫好きなの?」
「うん。家で飼いたいんだけど、お父さんがアレルギーで難しくて」
それもあって気を紛らわすわけじゃないけど、つい猫グッズとかを買ってしまうのだ。
「よし、じゃあ俺やってみる」
「犬飼くんはクレーンゲーム得意なの?」
「んー、そこまでは。でも瑠夏に喜んで貰いたいから頑張る」
「えっ、犬飼くんの欲しいのやろうよ。…あっ」
私が言い切る前に犬飼くんは100円玉を投入してゲームを始めてしまう。
お昼ご飯も奢ってもらったのに。私のために取ろうとしてくれるんだ。
「ううん、俺も欲しいし。瑠夏の分も取ってみせるよ。たぶん!」
そう張り切って挑む犬飼くん。
でも……。
「け、結構難しい…」
およそ十回近く挑戦するが、なかなかに筐体の中の猫たちはしぶとい。