犬系男子の犬飼くんは私にすごく懐いてます
スマホを片手に真面目な顔で待つ彼を見て、私は足を止める。
「相変わらず愛されてますなー」
「犬飼くんは、そういうんじゃないと思うけどなぁ。どっちかというと懐かれてる?」
「あっ、確かに犬っぽいよね彼」
「そこまでは言ってないんだけどなぁ」
私はもう少し近づいてから彼の名前を呼んだ。
「犬飼くん」
「あっ、瑠夏!」
私が声をかけると、彼が小走りで駆け寄ってきた。
「ほら、犬みたい」
「あはは…」
「?」
そんな仔犬のように首を傾げる彼は、犬飼守(いぬかい まもる)くん。
彼は隣のクラスの男の子で、2週間くらい前に校内で彼の財布を拾ったのがきっかけで仲良くなった高校に入って最初にできた男の子の友達。
彼と初めて出会った日、私はトイレの前で一つの財布を拾って職員室へ届けに向かった。
職員室へと入ると、そこでは必死に落とし物として財布が届いていないか先生達へ聞いて回っている男子生徒の姿があった。それが犬飼くん。
後から話を聞いてみたら、昼休みに購買に向かう途中で落としたみたい。
そんな空腹で困っていた所に私がその財布を届けたことで、すごく感謝をされているみたいで。
私は、当たり前のことをしただけだったんだけどな。
それからというもの、彼はまるで私に懐いたかのように休みの時間や放課後にこうして会いに来るようになり、周りからは付き合ってるだのなんだの揶揄われるようになっていった。
実際は、ただの友達で彼氏彼女の関係じゃないんだけど。
「瑠夏、お疲れ様!」
「うん、犬飼くんもお疲れ様」
どうしてなのか初めて会った時から彼は私の事を下の名前で呼んでくれる。
犬飼くんは見ての通り明るい人だから、人との距離の詰め方が上手なのかも。
「一緒に帰ろう!」
「ご、ごめんね。私、今日友達と…」
「瑠夏、私先帰るね」
「えっ、でも…」
彼からの誘いを断ろうとしたところで、美奈ちゃんが私の方を見て言った。
「大丈夫だよ。瑠夏とはいつでも帰れるんだし」
「…でも、」
「でもじゃないの。瑠夏も少しは男の子に興味を持った方がいいよ」
こそっと美奈ちゃんは耳打ちをしてくる。
それから、顔を話して笑顔を見せた。
「せっかく犬飼くんが待っててくれたんだから今日は一緒に帰りなよ」
「…うん、わかった。ありがとう美奈ちゃん。じゃあ、また明日ね」
「うん、じゃあね!」
私は先に帰る友達に手を振って見送った。
「…俺、迷惑かけちゃったかな」
美奈ちゃんが昇降口を出ていく姿を見て、犬飼くんが申し訳なさそうな顔をした。
「ううん、そんな事ないよ。でも一緒に帰りたい時は事前に言ってもらいたいかなぁ」
今日は元々寄り道とかはせずにただ帰るだけだったから美奈ちゃんも手を引いてくれたし良かったけど、予定が入っている時だとそうもいかないから。
「相変わらず愛されてますなー」
「犬飼くんは、そういうんじゃないと思うけどなぁ。どっちかというと懐かれてる?」
「あっ、確かに犬っぽいよね彼」
「そこまでは言ってないんだけどなぁ」
私はもう少し近づいてから彼の名前を呼んだ。
「犬飼くん」
「あっ、瑠夏!」
私が声をかけると、彼が小走りで駆け寄ってきた。
「ほら、犬みたい」
「あはは…」
「?」
そんな仔犬のように首を傾げる彼は、犬飼守(いぬかい まもる)くん。
彼は隣のクラスの男の子で、2週間くらい前に校内で彼の財布を拾ったのがきっかけで仲良くなった高校に入って最初にできた男の子の友達。
彼と初めて出会った日、私はトイレの前で一つの財布を拾って職員室へ届けに向かった。
職員室へと入ると、そこでは必死に落とし物として財布が届いていないか先生達へ聞いて回っている男子生徒の姿があった。それが犬飼くん。
後から話を聞いてみたら、昼休みに購買に向かう途中で落としたみたい。
そんな空腹で困っていた所に私がその財布を届けたことで、すごく感謝をされているみたいで。
私は、当たり前のことをしただけだったんだけどな。
それからというもの、彼はまるで私に懐いたかのように休みの時間や放課後にこうして会いに来るようになり、周りからは付き合ってるだのなんだの揶揄われるようになっていった。
実際は、ただの友達で彼氏彼女の関係じゃないんだけど。
「瑠夏、お疲れ様!」
「うん、犬飼くんもお疲れ様」
どうしてなのか初めて会った時から彼は私の事を下の名前で呼んでくれる。
犬飼くんは見ての通り明るい人だから、人との距離の詰め方が上手なのかも。
「一緒に帰ろう!」
「ご、ごめんね。私、今日友達と…」
「瑠夏、私先帰るね」
「えっ、でも…」
彼からの誘いを断ろうとしたところで、美奈ちゃんが私の方を見て言った。
「大丈夫だよ。瑠夏とはいつでも帰れるんだし」
「…でも、」
「でもじゃないの。瑠夏も少しは男の子に興味を持った方がいいよ」
こそっと美奈ちゃんは耳打ちをしてくる。
それから、顔を話して笑顔を見せた。
「せっかく犬飼くんが待っててくれたんだから今日は一緒に帰りなよ」
「…うん、わかった。ありがとう美奈ちゃん。じゃあ、また明日ね」
「うん、じゃあね!」
私は先に帰る友達に手を振って見送った。
「…俺、迷惑かけちゃったかな」
美奈ちゃんが昇降口を出ていく姿を見て、犬飼くんが申し訳なさそうな顔をした。
「ううん、そんな事ないよ。でも一緒に帰りたい時は事前に言ってもらいたいかなぁ」
今日は元々寄り道とかはせずにただ帰るだけだったから美奈ちゃんも手を引いてくれたし良かったけど、予定が入っている時だとそうもいかないから。