犬系男子の犬飼くんは私にすごく懐いてます
 
 家に帰ったその日の夜の事。

「あっ、犬飼くんからだ」

 犬飼くんから初めてのメッセージチャットをもらった。

【瑠夏! 次の日曜日、一緒に出掛けない?】

 お風呂から上がって部屋に戻ると、犬飼くんから休日の遊びへのお誘いが。

 犬飼くん登録してくれたんだ。

 私は、すぐに犬飼くんの連絡先登録ボタンを押す。

「日曜日…」

 ちょうどその日は予定もないし、行ってもいいかな。

「あ、でも」

 返信を打ち込む途中で、私は手を止める。

 これってデートのお誘い…なのかな。

 私は恋愛については全くの未経験だけど、それについての知識が無いわけじゃない。
 世の中には少女漫画とか恋愛ドラマもあるし、そのくらいのことは心得てるつもりでいる。

 私と犬飼くんはクラスも違うし、共通の友達がいるわけじゃない。そうなると、二人きりで出かけることになる…よね。

 もちろん、それが嫌ってわけじゃないけど。
 二人きりって緊張しちゃうな。

 …トクンッ、トクンッ。

 鼓動が早くなってるのがわかる。少し体も熱い。
 お風呂上がりだからだよね。きっと。

「……えいっ」

【いいよ。予定空けとくね】

 私は意を決して、犬飼くんに返信を送った。

 すると、すぐにチャットが返ってくる。

「早い…。ふふっ」

 犬が感激して泣いているスタンプが表示される。

 この子、ちょっと犬飼くんに似てるかも。私もスタンプ買っちゃおうかな。

 それから当日の集合場所や時間。どこに行くのかをチャットのやり取りで予定を決めて行くことに。

「――あ、もうこんな時間だ」

 実際に会ってお喋りしてるわけじゃないけど。夜に自分の部屋で男の子とこうしてやり取りするのって、楽しいな。

 異性の相手とチャットをして夜更かしなんて、いけないとわかっていても、つい心の中では嬉しく思ってしまった。
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