別れさせ屋の仲間になった私の結末
「寺尾は確かに目立つし、顔も悪くは無いけど……ダメ。私、文化祭ではこのレベルだけを飾りたいんだよ」

そうやって、デジカメの中にある写真データを見せてくる。

「確かに、みんなモデルみたい」

「でしょ」

「まぁ、この中にうちの彼氏が入るのは……無理だね」

「ごめんね、美奈ちゃん!」

廊下を歩いている姿や、友だちと話すときの笑顔。中には、スポーツでジャンプした瞬間をカメラに収めている野木ちゃん。

その中で1枚だけ、カメラ目線でピースをしている男子生徒の写真があった。

「これは隠し撮りじゃないんだ?」

気になってたずねると、野木ちゃんは目をキラキラさせて口の両端を上げる。

「美甘涼太(みかもりょうた)くん。1年なんだけど、今イチオシのイケメン!」

制服の下にパーカーを着ていて、ベビーピンクのツイストパーマが印象的な男子生徒。

「あ、この子知ってる! 運動神経がめちゃくちゃいい子だよね?」

なぜか、美奈はその存在を知っていたみたい。

「そう! 欠員が出たときの助っ人とかで、色んな部から引っ張りだこ」

「うん。一時期、男子バレー部がスカウトしてたから知ってる。……身長高いよね、この子」

「180越えだね。美奈ちゃんの言うとおり、美甘くんは色んな部からスカウトされたけど、結局、どこの部にも所属はしてない」

なるほど。美奈は元彼が男子バレー部だから、この人のことを知ってたんだな。
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