別れさせ屋の仲間になった私の結末
ごめんと謝ると、彼女はやれやれというかのような表情を浮かべつつも、いいよと返してくれる。

だけど、今回はそれだけで済まなかった。

「で、あの人、名前はなんていうの?」

「……え?」

「これからはちゃんと報告してくれるんでしょ? 名前くらいは教えてよ」

「な、名前……」

名前なんて言えるわけない。

隣のクラスの相良宗介だと答えれば、普段と見た目が違う点に疑問を持つだろうし、キングだと言えば「何それ」と聞かれるはず。

だからといって、テキトーにウソの名前を言ったりすれば、そんな人物なんていないとバレたときが大変だ。

「あと、3年何組? 代表委員会で同じクラスの人に頼めば、時間割表をもらえるかも」

「……い、いいよ……時間割なんて」

美奈はキングを3年生だと思っているみたい。

キングについて何も話すことができない私は、返す言葉に困って、周りに目を向ける。

話題を変えるため、何かないかと探していたのだけれど、その瞬間……。
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