別れさせ屋の仲間になった私の結末
「美奈ちゃん、おはよう」

聞き慣れない声と共に、下駄箱すぐの階段をおりてきたひとりの女生徒が、私たちの元に歩いてくる。

「ウルー! おはよう!」

「朝から元気ね~」

誰かと思えば、この学校の生徒会長で、同学年の潤咲希(うるうさき)。

「ウルーも朝は早いんだね」

「文化祭前はすることがいっぱいあって」

ふたりが話すところを初めて見かけたので、面識があることに驚いてしまったが、よく考えてみると、美奈は学級代表だ。

月に1、2回は、代表委員会で顔を合わせているのだろう。

潤さんはそばに来ると、私にも「おはよう」と微笑みかけてきた。慌てて同じように返すとクスッと笑って、美奈に目を向けた。

「実行委員、決まった?」

「あー、まだなの。みんな嫌がってて……」

実行委員……、文化祭の話かな。

ふたりの邪魔をしないよう、静かにしていると、潤さんの目が私に向く。

「本当、誰でもいいのよ。委員の経験がない子なら1から教えるつもりだし、水城さんでも……」

「え……」

彼女が面識のない私の名前まで知っていたことに驚いてしまう。生徒会長って生徒全員の名前を把握しているものなのだろうか、と。

だけど、その疑問はすぐに解決する。

「あー、マチは人見知りするタイプだから」

美奈が、潤さんの前でも私のことをマチと呼んでいたので、きっと私のことを話題にした日があったのかなと思った。
< 17 / 43 >

この作品をシェア

pagetop