別れさせ屋の仲間になった私の結末
生徒会の人たちは、あらかじめ決めていた役割分担を伝えるため、実行委員の元をまわっていく。

次は、私たちのクラスの番だと構えていると、

「もう少し人数がほしいから、あなたもこっちのグループに入ってくれるかしら」

と、ひとつ前の実行委員たちの役割に、うちのクラスの田嶋(タジマ)くんも混ざることになってしまった。

実行委員の相方を失って、ひとりで指示を待つことになった私。

不安を抱いていると、

「水城さん、なってくれたのね。ありがとう。これからよろしくね」

私のそばに来た潤さんが、優しく微笑みかけてくる。

「水城さんには、スタンプカードと、景品にする商店街の割引券を作ってもらうつもりなの」

「は、はい……」

昨年も行われていたスタンプカードのシステムは、潤さんが考えたものだと美奈から聞いている。

“スタンプ5つごとに、商店街のお店のちょっとした割引券がもらえるようになってるの。お店の宣伝にもなるし、来場者も景品のために沢山の展示を見て、色んなものを食べようとする。ウルーって策士だよねぇ”

文化祭での利益を上げるための案だというが、そこには、店を知ってもらうという商店街側の利益も考えられている。

そして、昨年の文化祭を振り返ると、私たち生徒もカードにスタンプを押す瞬間をすごく楽しんでいた。

スタンプは各クラスで用意することになっていた。大きさも形もデザインも全て自由だったから、生徒たちはそこにも力を入れていた。

集めるときはワクワクしたし、可愛いスタンプの存在を知って、わざわざ押しに行く子だっていた。

そのカードや景品を担当することになるなんて……。田嶋くんもいないし、私ひとりで出来るのかな。
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