別れさせ屋の仲間になった私の結末
かたい表情をしていたからだろうか。肩に力が入る私を見て、潤さんはクスッと笑みをこぼす。

「大丈夫よ。慣れてない人に丸投げなんてしないから」

彼女はそう言って、顔を隣のクラスの彼へと向ける。

「っ!」

まさか、と心の中でつぶやいたとき、

「相良くん」

案の定、潤さんはキングに声をかけた。

「…………」

突然呼ばれた彼は、潤さんの方を向くけれど、うんともすんとも言わず、黙ったままだ。

これまでの代表委員会でもこんな態度だったのだろうか。

けれど、潤さんは彼の無愛想な対応にも顔色ひとつ変えていない。

「水城さんと組んで、カードと割引券の作成をお願い」

「…………」

キングったら、目立ちたくないと言ってたくせに態度が悪すぎ。返事くらいすればいいのに。

それと引き換えに潤さんは流石だ。相手は無反応だというのに、「よろしく」と言って満面の笑みを浮かべている。オトナな対応だ。

「水城さん、わからないことがあったらなんでも聞いてね」

「あ、はい!」

潤さんたちが去った後、私はキングにひと言声をかける。

「さ……相良くん、よろしくねっ」

なんだか変な気分。

この姿の彼に話しかけることができるなんて。

「……」

振り向いた彼は、間を置いてから静かにうなずいた。しぶしぶといった様子で。
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