別れさせ屋の仲間になった私の結末
野木ちゃんは宣伝の言葉を置いて、そばを離れていく。室内を覗いていた団体の女の子たちに声をかけにいくようだ。

「……好みのタイプ、か」

みんなかっこいいとは思うけれど……。

「ねぇ、私この人、超タイプ!」

「私はこっち!」

周りにいる子たちのように夢中にはなれない。

「えっ、こんな人いたっけ? 2年に」

「E組だって。探しに行く?」

「行きたい!」

逢ってみたいとも思わない。

「……」

どの写真を見ても、キングのほうがかっこいいなと思ってしまうから。

「逢いたいな……」

心でつぶやくはずだった気持ちが、ぽつりと口からこぼれた。

一線を引かれていると感じて、感情的になった自分。あの後、委員会でも露骨に避けてきた。

私は彼女になれたわけでもないのに……。


──別れさせ屋の仕事を手伝いたいと言った、あの日。

トランプでの勝負で、キングは私にチャンスを与えてくれた。

全てハズレのカードにして諦めさせることも出来たはずなのに、当たりのカードも混ぜて、私に引かせたの。

“混ぜなくてもいいのに混ぜた。……今の俺が言えんのは、ここまでだよ”

あのときの言葉に、期待した私。
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