別れさせ屋の仲間になった私の結末
「早く行かなきゃ……帰っちゃう」

この高校は4階建ての校舎が2棟あって、中庭を囲うようにL字で建てられている。

2年生である私の教室は北館の3階で、これから向かう図書室は西館の3階。

同じ階でも、2棟をつなぐ廊下は1階にしかないので、通う身としては結構もどかしい。

でも、きっと彼なら、私が遅くなっても待っていてくれるような気がする。

「はぁ、はぁ……。いた……」

息を切らしながら開けた、図書室の後ろ側のドア。中に入って数歩進んだところから見える窓際のテーブルは、彼の特等席だ。

向こう向きにドカッと腰掛け、手はズボンのポケットの中。長い足で椅子をナナメに傾けながら、窓の外を眺めている。

足音で、近づくのが私だとわかっていたのだろう。

向かいの席に着くと、彼は驚く素振りも見せず、外へと向けていた視線をこちらに寄こした。

「せっかく仲直りしたんだから、一緒に帰ればいいのに」

開口一番に、美奈と帰らなかったことを指摘してくるこの人は、相良宗介(さがらそうすけ)。隣のクラスの学級代表をしている男の子。
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