別れさせ屋の仲間になった私の結末
普段は、制服を指定通りにきっちりと着用していて、顔の上半分が隠れる黒髪のフルウィッグで、真面目で猫背な男子生徒を演じているけれど。

私と会う時は、ネクタイを抜いて、首が楽になるようボタンを外し、髪もウィッグをとって派手なプラチナブロンドの地毛をさらしている。

──別れさせ屋のキングの姿だ。

「だって、今日は何も予定がないんでしょ? 依頼で動く日は会えないだろうから、会えるときに会っときたい」

私は返事をしながらリュックをおろし、向かいの席に座って、再び外を眺めはじめたキングの端正な横顔を見つめた。

「……暇人(ひまじん)」

呆れた口振りで皮肉を言われるけれど、それすらも嬉しい。この人に恋をして、私は少しおかしくなったのかもしれない。

美奈には悪いけれど、私は、寺尾たちが一緒に帰るようになったことを、ありがたいと思っている。

ふたりで帰っていた頃の美奈だったら、あんなにすんなりと引き下がらなかっただろう。

急いでいると言えば一緒に急いでくれたはずだし、予定があると言えば終わるまで待っていたはずだ。

図書室に私がいるとわかれば、ここまで押しかけてくる可能性だってある。

そうなれば、きっと、キングは会ってくれなくなるのだろう。
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