世界で一番好きな人
「騙しちゃった、じゃねぇよ!もしかして、タダ券があるってのも嘘か?」


「…はい」



はあとため息をつき、鞄を持って立ち上がる。



「ちょ、まさか帰らないよな?お願いだよ千瑛ー!ちょっとでいいから付き合ってくれよぉ」


「別に俺いなくたって平気だろ。女子も三人なんだから」


「あ、いやもう一人はこれから来るみたいで…」


「あ、茉莉花ー!こっちこっちー!」



茉莉花、という名前に心臓がどきっと飛び跳ねた。


まさか…。



「…あれ、なんで男子も…」



ばちっと俺と目が合った茉莉花は、言葉を途切れさせて驚いたように目を見開いていた。
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