世界で一番好きな人
「あの時の茉莉花は、俺と付き合わなかった方が幸せだったのかもな」



何度も考えた。


俺は茉莉花を傷つけてしまうから、それならもう二度と関わらない方がいい。


茉莉花が笑えるなら、隣にいるのは俺じゃなくてもいい。



「…だけど、どんなに忘れようと思っても、ふと考えるのは茉莉花のことばかりなんだよ。誰よりも大切で失いたくなかった」



今更こんなに好きだって気づいたって遅いのに。


一緒にいたい、幸せにしたいと思うのは、茉莉花だけなんだ。



「…どうして?村井先生は…?そばにいてあげてって、言ったじゃん…っ」


「…え?」



茉莉花の両目から大粒の涙がこぼれ落ちた。
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