世界で一番好きな人
それだけで私はすごく幸せだった。



五年記念日の時には、イニシャル入りのお揃いの指輪をくれたりもした。


「俺が元気になったらちゃんとルビーのついた指輪あげるから」って照れくさそうに言っていた千春がとても愛おしかった。



そんな些細な幸せが、ずっと続けばいいと本気で思っていた…。





「ん…」


–––––プルルっ、プルルっ。



目が覚めると時計はもうお昼を指していた。


いくら日曜日で学校が休みだからって、寝過ぎてしまっていた。



まだぼんやりとする頭で鳴り続けるスマホを手探りで見つける。


電話は千瑛くんからだった。
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