世界で一番好きな人
小さな部屋の真ん中に、千春はいた。


ベッドの上で眠っている千春の顔には四角い布がかけられていた。



「ちは…る…」



そっと布を取ると、千春は穏やかな顔で眠っていた。



「ねえ、千春…。起きてよ…」



どんなに呼びかけても、千春は起きない。



「ふ…っ、あああああ…っ」



千春はもう二度と目を覚ますことはなかった。





「ごめんなさいね、一条さんに心配かけちゃって。千瑛くんから聞いたわ。すごく心配してくれてるって。でも少しずつ気持ちの整理もついてきたし、今はだいぶ落ち着いたわ」
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