世界で一番好きな人

「…って、ごめん。服着替えてから出ればよかったか」



ふと、自分がメイド服のまま出てきてしまったことを思い出す。


千瑛も黒のワイシャツ姿だ。


いつもと違う大人っぽい千瑛にドキドキしてしまうのを必死に隠しながら、パッと目を逸らす。



「いいよ、このままで。今戻ってもまだあの人たちいるだろうし」


「…でもそのままだと茉莉花…」


「ん？私？」


「い、いや、なんでもない。そんなことより早く回りたいとこ回んないと、休憩時間終わるぞ」



なぜか千瑛が耳を真っ赤にしていた。


…もしかして、また私が声かけられるかもって心配してくれたのかな？



「千瑛、ありがと」