世界で一番好きな人
「本当に何も覚えてないの?茉莉花には、彼氏もいたんだよ?」


「…うん。覚えてない」



もうとっくに消したはずの欲が、今更出てきた。


今、チャンスなんじゃないか?



茉莉花はあの彼氏のことを覚えていないんだ。


今頑張れば、茉莉花の隣にもう一度戻れるんじゃないか…?



「茉莉花。俺、ずっと前から茉莉花のことが好きだったんだ」


「…え?」


「本当は留学から帰ってきたら伝えようと思ってたんだ。今、好きな人も彼氏もいないなら、少しは考えてくれないかな?」



俺はずるい。


茉莉花の空いた穴に漬け込むようなことをして。
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