世界で一番好きな人
だけど、もう一度茉莉花の隣に戻れるかもしれないなら、このチャンスを無駄にはしたくなかった。


もう何もせずに失うなんてことはしたくなかった。



それから留学していた間の一年半の時間を埋めるように、茉莉花と毎日を過ごした。


告白の返事は保留にしてもらっている今、たくさんアピールをして少しでも茉莉花の彼氏になれるように努力をした。



「柊ちゃんはさ、いつから私のこと好きでいてくれたの?」



バイトの帰り道、茉莉花が遠慮気味に俺を見上げてそう聞いてきた。



「いつからか…。俺もよく覚えてないんだよね。いつも笑顔で俺の名前を呼んでくれる茉莉花に、気づいたら恋に落ちていたんだ」



茉莉花は自分から聞いたくせに、顔を真っ赤にして俯いてしまった。



「そっか…。私、柊ちゃんの気持ちに全然気づかなかった…」


「隠してたつもりはないけど、茉莉花は鈍いからね」
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