世界で一番好きな人
「茉莉花」



いきなり後ろから腕を引かれたかと思ったら、ぎゅうっと抱きしめられた。



「…え、千瑛?」



顔を上げると、千瑛が柊ちゃんを真っ直ぐ見つめていた。



「こんなとこで何してるの!?千瑛の家、ここから二駅先だよね?」


「ちょうどここらへんに用があって、ついでだし茉莉花に会いにきた」



千瑛がわざわざ会いにきてくれるなんて珍しい。



「茉莉花こそ、何してんだよ。そいつ誰だ?」


「あ、私はば…じゃなくて!その、そこで柊ちゃんに会ったから一緒に帰ってたの!あ、柊ちゃんは小学校から仲のいい私の幼なじみ。柊ちゃん、こっちは私の彼氏の千瑛!」



またバイトのことをうっかり滑らしてしまいそうになり、なんとか誤魔化す。
< 43 / 168 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop