世界で一番好きな人

「あの、千瑛…つめた！」



たまたま千瑛の手に当たり、あまりの冷たさに思わず引っ込める。



「え、なんでこんなに冷たいの？もしかして、長い時間ずっと外で待っててくれた？」


「…帰ろうかと思ったけど、茉莉花から今にもLINEが返ってくるんじゃないかって思って、それ続けてたら時間が経ってただけ」



スマホを確認すると、千瑛からLINEが来てたのは午後五時。軽く三時間は経っている。


いくら十月だからといって、夜はそれなりに冷えて長袖じゃないと寒いのに、ずっと家の前で待ってくれていたんだ…。



そっと千瑛の頬に触れる。手だけじゃなく、頬まで冷たくなっている。



「私、何か温かい飲み物買ってくる！」



ベンチから立ち上がり自販機に行こうとすると、腕を引かれ千瑛の膝の上に乗せられる。



「いいよ、ここにいろ」