世界で一番好きな人
…どうしてこの場で出なかったんだろう?私には聞かれたくないのかな…?


やっぱり、梓って女の子なの?



椅子に座って待っていると、千瑛が申し訳なさそうな顔をして戻ってきた。



「…ごめん、茉莉花。急用できたから、家まで送ってやれないや」


「え…」



…それって、梓って人のところに行くの?



「…わかった。私、ちょうど寄りたかったところあったから平気!」



結局、梓の正体を聞く勇気はなく、校門で千瑛とわかれてその日は帰った。



千瑛のことを信じているから大丈夫。きっと大丈夫。


そう自分に言い聞かせるしか、私にはできなかった。
< 50 / 168 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop