世界で一番好きな人

「柊ちゃん！何してるのこんなところで？」


「あ、茉莉花。店長がバイト前に買い物してきてほしいって。俺、こっち帰ってきたばっかで近くのスーパー知らないから教えて」


「わ、わかったから、早く行こ！」



これ以上注目される前にと、柊ちゃんの背中を押して人通りの少ない道に出る。



「わざわざ校門の前に来なくてもいいのに。誤解されちゃうでしょ」


「ああごめん。留学してた時はスマホとかあんまり使ってなかったから、メールとか苦手で。直接来た方が早いと思ったんだけど、また茉莉花の彼氏に嫉妬されちゃうね」



千瑛の話題を出され、曖昧に笑いを返す。



「さあ…嫉妬なんてしてくれないと思うけど」


「…彼氏と喧嘩でもしたの？」



鋭い柊ちゃんにぎくりとする。