世界で一番好きな人
「柊ちゃん、ごめんね付き合わせちゃって。早くバイト…」



何気なく視線を向けた先にいた、向かい側を歩くカップルらしき男女に、思わず足が止まった。



「ち…あき…?」



間違いない。あの制服姿の男子は、千瑛だ。


それに、隣の女の人…。



「え…?」



二人は戸惑う私に気づきもせずに、笑いながら角を曲がっていってしまった。


柊ちゃんの呼びかける声も周りの音ももう、何も聞こえなかった。





「…か。…茉莉花!」


「…え?」
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