世界で一番好きな人
ハッと我に返ると同時に、顔面にバレーボールが直撃した。



「ちょっと、大丈夫!?」


「うう…っ」



かなり強烈な痛みに、思わず呻き声が出る。


すると、何かがポタポタと地面に垂れた。



「うわ、鼻血出てるよ!保健室行こう、茉莉花」


「わー…、本当だ。大丈夫、一人で行ってくるよ」



心配そうな瑚子に大丈夫、と笑みを返してジャージの袖で鼻を押さえながら保健室に向かう。


昨日のことが、何をしてても頭から離れなかった。



昨日はあの後バイトに行ったけど、もちろん仕事に身が入るわけもなくミスを連発してしまい、途中で柊ちゃんに帰らされた。


今日も気づけばあの二人のことをずっと考えるばかりで、ボーとしすぎて瑚子にも心配をかけている。
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