世界で一番好きな人
「うるせぇ、この鈍感!」



千瑛はなぜか顔を赤くしてさっさと先を行ってしまった。





もう何回か病院に来ていたため、受付もエレベーターも慣れた。



「本当にお花とかお菓子とか持ってこなくてよかったの?手ぶらって感じ悪くない?」


「いいだろ別に。毎回毎回持って来られる方が困るだろ」


「ええーでも…」



千瑛と病室に入ると、ちょうど千春さんと村井先生がキスをしていた。



「…きゃ、千瑛くんに一条さん…!」



驚いて固まっている私たちに気づいた先生が、顔を赤くして千春さんから離れた。



「す、すみません、ノックもなしに…」
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