世界で一番好きな人
テストとかバイトとかで色々忙しく、最近ここに来れていなかった。



「んー!とろける…」



そして相変わらず、村井先生の作るお菓子は美味しかった。



「ふふ、一条さんに食べてもらうと、いつも褒めてくれるから嬉しいわ」



笑ってはいるけど、いつもより元気がないように見えた。



「千瑛も、食べに来ればよかったのに…」



気づくとそんなことを思わず漏らしていた。



「…ごめんなさい。きっとあの日のことまだ怒ってるのよね。私が迂闊だったばかりに、あんなところで…。一条さんにも気まずい思いさせちゃったわね」


「いや、そんな…!千瑛がガキなだけですよ!いくら身内のその、キス…見ちゃったからって、いつまで根に持ってるんだって話ですよね」


「次の日、千瑛くんに謝ったら怒られちゃったわ。謝るくらいなら最初からやんな、気持ち悪い、って…。その日からずっと口も聞いてもらえなくてね」
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