世界で一番好きな人
「な…っ!最低!千瑛、そんなこと言ってたんですか!?」


「ええ。でも、千瑛くんが言うことももっともだから。元はと言えば悪いのは私たちだし、これからは気をつけるわ」



そうだけど、だからといって千瑛は気にしすぎだ。


どうしてそこまで怒る必要があるんだろう…。





「茉莉花?考え事?」



机を拭いていたはずなのにいつの間にかぼーとしていて、柊ちゃんに顔を覗き込まれハッと我に返る。



「それとも具合でも悪い?今ちょうどお客さんいないし、休んでてもいいよ?」


「あ、ううん!大丈夫!ほんと、大したことないの!ちょっと考え事してただけで…」


「考え事?」


「うん、えっと…。あのさ、友達の話なんだけど、もし自分のお兄さんとその彼女さんがたとえば、家の前とかでキスしている現場を見ちゃったら、柊ちゃんだったらどう思う?」
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