世界で一番好きな人
「んー…、まあ気まずいだろうね」


「じゃあ怒る?」


「場所考えてほしいなとは思うけど、それくらいじゃない?付き合ってるんだし、そういうことするのを止める権利なんて俺にはないからね。次の日とかにはもう忘れてるかな」


「やっぱりそうだよね…。そのことを何日経ってもずっと根に持って怒ってる男子がいて、どうしてなのかわからないんだ…」


「…もしかしたら、その男子が彼女さんのこと好きなんじゃないの?お兄さんの彼女好きになる話なんてドラマとかでもよく見るし」


「え、好き…?」



考えたこともなかった。まさか、千瑛が村井先生のことを好きかもしれない、なんて…。



でも、それなら少し納得がいく。


好きだからこそ、キスしている現場を見て嫉妬してしまった。だから、先生のことも避けているんだとしたら…。



「でも、その人には彼女がいるんだよ…?」


「え?…じゃあ、その可能性は低いね。彼女がいるなら、好きなわけないもんね。ただ気まずくて、普通に接することが難しくなっちゃっただけじゃないかな?きっときっかけさえあれば、気まずい今の関係もまた元に戻るよ」
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