世界で一番好きな人
噂をすれば、ちょうど村井先生が前から歩いてきた。



「化学の授業だよ。実験だから」


「そうなのね。そういえば千春、また痙攣起こしたってさっき電話があったのよ…。今日は早めに病院行くつもり」


「そうか…。俺も学校終わったらすぐ行くよ。ちょうど今日茉莉花と行く予定だったし。な?」


「あ、うん…」



やっぱり普通だ…。


もう気にしていないってことは、やっぱりただ気まずかっただけなのかな…。



–––––パリンっ!



急にすぐ隣にあった窓ガラスが割れて、きゃあと女子の悲鳴が響いた。


私も咄嗟に自分の腕で顔を隠し、身を守る。



足元に野球ボールが転がってきて、窓の下からは「すいません!大丈夫ですか!?」と男子生徒の声が聞こえてきた。
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